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最低賃金の上昇が「街の温度」を下げている可能性はないか?という話。

こんにちは。ゲンタです。
11月の空気もだんだん冷たくなってきましたね。街を歩いていても、コート姿の人が増えて、冬の匂いを感じる今日この頃です。そんな中、最近になってよく耳にするのが「最低賃金の引き上げ」。わたし自身が店頭に立ちお客様と話していても、よくこんな声を聞くようになりました。

「子どもがほしいけど、今の生活じゃ贅沢品みたいなものだよ」
「社長になりたいけど、物価高と人件費が上がりすぎて無理だよ」

誰もが頑張って働いているのに、将来を明るく語れない。そんなムードが、わたしのまわりでも広がっています。

「勝手に決まる」最低賃金の仕組み

正直なところ、わたしも最初は「なぜこんなに急に賃金が上がるの?」と思った事をきっかけに、調べてみたところ、この最低賃金は「中央最低賃金審議会」や「地方最低賃金審議会」という場で毎年決められているそうです。

そこには「労働者代表」「使用者代表」「公益代表」という三者がいて、話し合いの結果をもとに厚生労働大臣や都道府県労働局長が最終決定します。ただ実際のところ、「使用者代表」といっても大企業や業界団体の関係者が多く、私たちのような小規模経営者や現場の声はほとんど届いていません。だからこそ、「勝手に決まっている」「知らぬ間に上がっている」と感じてしまうのです。

不思議なのは、こうした生活に直結する決定が、まるで季節のように「毎年自動的に」進む一方で、たとえば「国旗損壊罪」のような国の根幹に関わる法律は、何年も議論が続いてなかなか成立しないということ。つまり、国を象徴する問題には慎重なのに、国を支える現場には一方的。このスピードのギャップに、「誰のための政治なんだろう」と思わず首をかしげてしまいます。

「人の温度」が評価されない時代

賃金が上がるのは悪いことじゃありません。当店のあまねママもまなみに関しても、時給以上の働きを見せてくれています。でも、問題はその「上げ方」と「スピード」。中小規模の店舗にとって、人件費の上昇は経営を直撃します。

そしてそのしわ寄せは、人を選ばざるを得ない現場に出てきます。「笑顔が素敵だから」「空気を和ませてくれるから」——そんな「数字」に直結しない「魅力」を持ったスタッフを雇う余裕がなくなる。つまり、「無能」ではなく「人間味のある人」が排除されていく。そんな皮肉な現象が起きているんです。

「逆噴射」を起こしている業界たち

この影響は、うちのようなバーや水商売だけに限りません。

たとえば、
• 個人経営の飲食店・居酒屋
• 小規模な美容室やサロン
• 街の喫茶店やカフェ
• 地域密着型のサービス業
などでも同じ現象が起きています。

賃金が上がったことで、人を減らし、営業時間を短縮せざるを得なくなったり、「新人を育てる余裕」がなくなってしまう。結果として、雇用が減り、街のにぎわいまで失われるという「逆噴射」を起こしているんです。

「守るための制度」が人を減らす矛盾

最低賃金の引き上げは「働く人を守る」ための制度のはず。でも今は、その制度が逆に「働く場所を減らす」結果を生んでいます。数字ばかりが基準になって、「人の魅力」「会話の間(ま)」「空気感」みたいな、接客業の本質が置き去りにされている。守るべきは「数字」ではなく「人の温度」。そこを見つめ直さなければ、どんな政策も現場ではうまく回らないと、わたしは思っています。

わたしたち経営者も、働く人も、同じ街で生きています。「人を守る制度」と「店を守る現実」は、きっと両立できるはず。数字では測れない「人の価値」をもう一度見つめ直して、この街が本来の温かさを取り戻せるよう、わたしもできる限り声を上げていきたいです。

2025年11月も半分が過ぎました。本日水曜日は既に11月も後半戦に突入しております。18:00より、あまねママがお待ちしておりますので、みなさまのご来店を心よりお待ち申し上げております。

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